図鑑セットがご家庭にあることで、お子様の「もっと知りたい」という意欲をかきたてることができますし、親子の会話がはずむきっかけを作ることもできます。
例えば、おうちの方がお子様に絵本を読み聞かせしていて、「カマキリ」という言葉が出てきたとします。そのときお子様が、
「カマキリ」って何?どんなの?
というふうに訊いてくれたらしめたものです。
「『カマキリ』って何の仲間なのかなあ?」
「この絵だと、昆虫かなあ」
「じゃあ、昆虫図鑑持ってきて」
「はーい!」
ここで「電子辞書」を使ってはいけません。この、調べて、目的のページが出てくるまでの過程・会話・時間が重要なのです。電子辞書ではこの過程を味わうことはできません。
例えばお父さんの膝の上にチョコンと座って、一緒に昆虫図鑑で「カマキリ」について調べたという、その経験が重要なのです。
このような経験を繰り返すことで、お子様は「調べる」という作業を「楽しいこと」だと認識します。電子辞書では一瞬で目的物が出てきてしまうので、この経験を味わうことはできないのです。
勘違いしていただきたくないのですが、私は電子辞書を否定しているのではありません。役割が違うと申し上げているのです。
電子辞書は、次のようなときに使うと有効だと思います。
1.はすぐに理解していただけると思います。電子辞書では動画や音声も記録されています。動物の動きや鳴き声、言葉の発音を知るために、電子辞書は重要なツールとなってきています。
2.についてですが、例えば「憲法」という言葉について電子辞書で調べると、国語辞典では「国家の統治機構などの基本事項を定めた最高法規。他の法律や命令によって変更することはできない」(『明鏡国語辞典』より)とありますが、これを百科事典で引くと、十七条憲法からフランス人権宣言、さらには憲法改正の話から軟性憲法・硬性憲法という記述まで得ることができます(『ブリタニカ国際大百科事典』より)。
このように電子辞書ではいろいろな辞書を調べていくことによって、一つの物事について瞬時に、深く調べることができます。
3.についてですが、電子辞書の昆虫図鑑では、図から検索できて、「どんな虫なのか」、「見つけた場所は?」、「季節は?」、「食べ物は?」、「卵を産む場所は?」とかいろいろなテーマから調べることができます(『デジタル昆虫図鑑』より)。目の前にいる昆虫について、瞬時に、調べることができるのです。詳しく調べたければ、家に帰ってご家族で、紙の図鑑を使って調べることもできますし、インターネットを使って調べることもできるでしょう。
このように図鑑や辞典(事典)をうまく使うことで、お子様の「もっと知りたい」という意欲をかきたてることができますし、親子のコミュニケーションもしっかりとることができます。お子様にとっては学習することが「楽しい」と思えるようになりますし、このように知識を得ていく過程がよい思い出となって成長していくことになります。
子育てに関わることができる時間は、長い人生を考えるとほんの一瞬の期間です。しっかりお子様と接して、より多くの思い出を一緒に創っていただければ…と思います。